Nameless One

魔術の源となる”エーテル”が噴き出す力場を奪い合う戦争の中で、各国の技術者は様々な魔導兵器を生み出した。

その中でも飛び抜けて猛威を振るったのは人工の兵器ではなく”魔導書”である。
エーテルが噴き出す力場付近では、しばしば魔界からの漂流物が発見されることがあり、人々にとってはこれが人間界に存在しない資源や強力な魔導書を手に入れる貴重な機会となった。
漂流物を発見できた国はほんの一握りだが、魔獣を召喚し使役できる類の魔導書を持つ国は飛び抜けて多くの力場を独占することが出来た。
人々は力場の独占を目的に戦い、領土を広げ、国力を引き上げることに血眼になっていたが、1つの魔導書の出現により風向きは変わる。

現世と魔界を繋ぎ、過去と未来を記す究極の魔導書ネームレスワンは、手にした者に魔界の力と全能の叡智を与える力を有していた。
その存在が各国の首脳陣に認知された時には、彼らの目的はエーテルを燃料として魔術を操ることから、ネームレスワンの力で自らが魔人と化すことに変わってしまう。

人々は邪神に匹敵する魔力と云われる未知の異能を求め、かつてない規模の戦禍が世界を包む。

各国が戦いを継続できないほどに消耗を極めた頃には、魔導書ネームレスワンも戦火により激しい損傷を受けていた。その頁(ページ)の殆どが破れ散ってしまい、本来の魔力を失うこととなる。
力を失えど人の手に渡れば破滅を呼びかねない魔導書は魔界へ返還されるその時まで、
“月影の神殿”にて封印されるのであった。
事態は収束、エーテルの争奪戦も鎮静化を迎えたかと思われたが…。